北新地競馬交友録

熱中症

大阪市で最高気温38度を観測した19日、救急隊が出動した件数が平年のおよそ1.5倍にあたる950件となり、1日の出動件数としては、昭和41年に統計を取り始めてから最も多くなった。
いつ終わるとも判らぬ猛暑。
日中のみならず、気温が少し下がった夜も、街中を出歩く人間の数がめっきり減った。
マスターの店がある北新地も、若い人はまだ元気だが、少しばかり歳を喰った人間がとんと減って、人出の寂しさは半端ない。
喜んでいるのは、エアコンを売っている家電屋と飲料メーカーぐらいである。
そんな中、マスターとまあまあ愉快な仲間たちの1人、熊本天草出身○原さんが救急車で運ばれる事態が発生。
熱中症である。

「マスター、おはようございます。昨日、○原さんのお見舞いに行って来たのですが、案外元気でした。点滴の効果は絶大ですね。それはいいんですが、今日は元町ウインズに行くと云ってるんです。本人は治ったの一点張り。止めて貰えませんか」と競馬友達のK君から繋ぎが入ったのは日曜日の朝の事。
「ふ〜ん。本人が大丈夫だと云ってるならいいじゃん」
「また、倒れたらどうするんですか」
「そったらもん、ほっぽらかして逃げりゃ〜いいのョ。ウインズから救急車で搬送されるなんて、本人も思い出になるだろう」と相変わらず冷たい反応。

「よくそんな事が云えますね」と携帯の向こうでプチ怒のK君の気配を察して、「冗談だョ、冗談。今から連絡するからョ」と、おっとり刀で○原さんに繋ぎを入れたマスター。
「この野郎!生きてるか〜?しぶとい野郎だな。俺ぁ○原さんが生きようが死のうが全然気にもしねえが、真面目なK君が気にしてたぞ。あんまし人を困らせるもんじゃねえ。救急車だってタダじゃねえんだ、税金てもんがかかってんだからョ。今日は家で大人しくしてろ。競馬なんてもんは、頼んでもいねえのに毎週やってんだ。判ったか」

「今日は買いたい馬がいるんです」
「なんなら?」
「中京記念のロジクライです。六甲Sで少し儲けさせて貰いましたから」
「あ〜あれな。スグルちゃんが将雅から手が戻ってヤル気になってるらしい。無理して来るこたぁ〜ねえ。俺が買っといてやっから。ナンボない」
「単勝5百円、複勝1千円でお願いします」
「ブッブー!一目千以下の馬券はお断りしておりま〜す。ピンポンパンポン」
「………….」
「冗談だョ!任せろ」

なんでもマスター、○原さんの馬券に乗っかって、単勝9千5百円、複勝2万9千円を購入するらしい。
もし儲かったら、特特上の鰻丼を○原さんに差し入れするんだとか。
口も顔も悪いが、心根はそんなに悪くはないようで………さて。
浜中J!宜しくですϵ( ‘Θ’ )϶