北新地競馬交友録

理由

今年、大晦日や元旦を休みにするという飲食店やサービス業が増えているらしい。
年末年始はかき入れ時なのに、何故、休むことを決めたのか……..。
某居酒屋チェーンのお偉いさんによれば、「社員の労務環境の改善というところが一番でして、売り上げに関して多少痛みは伴いますが、そこでリフレッシュして貰い、また来年から頑張ろうと云う事です」
ごくごく自然の話しである。
「おい!にいちゃん!ビールまだか?早よせいや」
調子に乗った酔っ払いに、どん詰まりの年の瀬や、年明け早々文句を云われたら、そりゃ〜「やってられっか!俺は我慢して働いてんだ」となるのは必然。
従業員を大切にしない企業に明日はないのは今や常識である。
気が付くのが遅過ぎだが………大晦日、元旦を休みにするのには、正当な理由があると云う事だ。
飲食店やサービス業の皆さん!しっかり休んでくれたまえ(╹◡╹)

「マスターさん、おはようございます。『有馬記念』が終わっているのに、まだ開催があると云うのは違和感がありますね。今日は見送りですか?」
「たわけ!あんたはいいよな〜、どうせ有馬で負けたって5千か1万がいいとこだろう。こちとら20万もイカレコレで、腑が煮えくりかえってんだ。ナンボかでも回収しなくちゃダチカンだろうが」
「狙いの馬がいるんですか?」
「おう!10年来年の付き合いがある某馬主さんが、一口のクラブを立ち上げる事になってよ〜。ついこの間金融庁の認可がおりたところよ。産まれてこの方、一口馬主なんてやった事ねえし、ジャンボ宝くじよかマシでも、早々、簡単に走る馬を当てれるとはとても思えねえが。ここはお付き合い精神で、一丁乗る事にした」

「そうなんですか。400分の1とかの馬が大体どのレースでも出走してますね。いいんじゃないですか。馬券を買うばかりが能じゃないでしょう」
「何を眠たい事を云うとるんなら!40分の1だ。40分の1」
「一口お幾ら万円ですか?」
「45万両」
「ひえ〜よくそんなお金がありますね」
「俺にそんな余裕がある訳なかんべ。播州信用金庫で借りようかと思ってたらよ〜、俺の数少ない信者、商社マンのY君と、さくら夙川在住の二代目若社長I君が助太刀してくれる事になった。そんなこんなで来年からは俺も『うちの子が!うちの子が』とのたまうってこった」
「結構な事ですが、それと今日のレースに何の関係があるんですか?」

「よくぞ聞いてくれた!出資する馬の入厩予定があのクロフネでご存知松田国英先生。でもってその馬のお父ちゃんが、ルーラーシップよ。中山メインG1『ホープフルS』の馬柱を見てみない」
「あ!1番人気のタイムフライヤーが松田国英厩舎、5番人気のサンリヴァルのお父さんがルーラーシップです」
「だろう〜。でもってだなこの二頭の馬券を買おうって寸法さあね。発表!タイムフライヤーの単勝を1万、複勝を5万、サンリヴァルの単勝を1万。二頭軸3連複、相手全部15点一目2千。締めて10万でいてこます」と結論付けた。

飲食店やサービス業が大晦日や元旦を休みにする理由があるなら、マスターの張り納めにもそれなりの理由があるようだ。
これが外れたら、来年からは馬券を控え目にして、『うちの子』の応援に力を入れるとマスター。
まぐれでもいい!馬券になって欲しい!