北新地競馬交友録

鉄板の行方

「この世の中で競馬ほど難しいものはない」
競馬歴一年ぐらいヨチヨチ歩きのビギナーから、キャリアうん十年のベテランまで、馬券が外れて誰もが何度も口にする言葉である。
さしずめ競馬歴35年を優に越えたマスターなら一万回は下らないかも知れない。
大昔なら、それこそ1日に1〜2レースは、100回走ったら99回はこの2頭で決まる!なんてレースもあったが、最近は調教技術の進歩、普段のケアのスキルアップ。
更にそれに輪を掛けて難しくしているのが外厩の活用である。
以前は休み明けの馬は基本的に一枚落として考えれば、まず狂う事はなかった。
バット!『最近は外厩帰りを狙い撃て!』なんて格言が出るほど良く走るんだから始末に負えない。
やれ、1800mだ、2000mを走って鼻差、首差。
時計にして0コンマ何秒の間にお馬さんがひしめき合っているのが最近の競馬。
当たるか外れるかは結局神の領域なのかも知れない。

それじゃ〜サイコロを転がしても同じかと云えばさにあらず。
競馬の楽しみの半分は予想する段階にある。
「子供は生まれてから3歳までに親孝行をしてくれている」に少し近いかも知れない。
25%の参加料の3分の1ぐらいは、「あ〜でもない、こ〜でもない。これが来たら10万になる萌え〜」てなもんである。
そんなこんなで、予測不可能とも云えるレースが山盛りモリモリ森昌子だが、「それでも鉄板のレースはある!出走馬の力関係と展開をムム!と睨めば何とかなる」が持論のマスターが選んだのは、土曜日中山メイン『ラジオ日本賞』だ。

「ロワジャルダンとケイティブレイブのワイドなら大丈夫だろう。中山ダート1800は前に行く馬がかなり有利。最後の直線に急坂があるがよ〜、なんせ距離は310mと短けえから4コーナーを回った時点である程度前に位置してないと話しにならねえのよ。先行力NO1のケイティブレイブ、前々で立ち回れるロワジャルダン、この2頭以外はオリンピック精神よ。まあ〜競馬の事だから絶対はねえが、エビショウと圭太がアクビしながら乗っても、この2頭が3着以内を外す事はねえ」と宣言して5万円を張り付けた。

「400を切った!ケイティブレイブにビービーバーレルが並びかける!3番手からロワジャルダン!ケイティブレイブ振り切った!2番手ビービーバーレルの外からロワジャルダン!」
好発を決めたケイティブレイブに軽量ビービーバーレルが喧嘩を売る体制に、「ゴラァ!恭介何やっとるんなら引け!引けってんだ!」とマスター一声。
隊列が予想通りの並びに落ち着いて「よっしゃ!それでいい」と更に一声。
最後の直線を独走するケイティブレイブと、3番手から追い込んでくるロワジャルダンに、「デケタ!サンキューベラマッチョ!」と叫んだのだが……..。

「ロワジャルの外からメイショウスミトモ!内をすくってシンセンレンジャー!やや離れた外からキクノソル!ケイティブレイブをメイショウスミトモ並んで!交わした!交わした!メイショウスミトモ!ゴールイン!2着ケイティブレイブ!3着ロワジャルか」
1着 メイショウスミトモ 和田J
2着 ケイティブレイブ 蛯名J
3着 ロワジャルダン 戸崎J
ワイド馬券なので当たりは当たりだが、マスター頭から湯気だして怒ってる。

「エビショーの野郎は、全く持ってあてにならねえな。恭介を睨んで引かせたまでは良かったが、早えんだよ!ペースがよ〜。しかも何だ!タコ踊りみてえなあの追い方は、あったら背中でバタバタされたら馬もビックリすんじゃねえか。馬の力で云ったらとてもじゃねえが、メイショウスミトモが差せるような馬じゃないちゅ〜のケイティブレイブはよ、大体が…………」
罵倒しまくりで、蛯名Jの親族でもいたらパンチの応酬間違いなしと云うぐらいdisってる(~_~;)

「マスターさん!おめでとうございます。ワイド160円も付いてます」と熊本天草出身◯原さん。
「ナヌ?そったら付いてんのか!竜二にアッパレ!しかしボンビーはやだね〜。こったら鉄板のレースに僅か5万しか張れねえんだもん。走る前から判ってたんだよケイティブレイブとロワジャルダンが3着を外さねえのはよ〜。いい時の俺なら20、いや10は最低張り付けてる」と自慢とも愚痴とも付かぬ発言。

マスター!贅沢云うな。
競馬の神様にソッポ向かれるヨ!