北新地競馬交友録

白髪

『照鏡見白髪』

宿昔青雲志

蹉跎白髪年

誰知明鏡裏

形影自相憐

約1300年前、Chinaに張九齢と云う優れた政治家がいた。
時は唐、玄宗皇帝に重用されていたが、戦で命令に逆らい大敗を喫した安禄山の処罰を巡って、皇帝の不興を買い荊州に飛ばされ寂しい人生を送ることとなる。
その晩年、ふと鏡を見ると白髪頭のショボくれた自分が映っている。
「若い頃はあんなに元気で志も高かったのに、挫折ばかりでこんな白髪頭になってしまったよ。あの頃はまさかこんな姿になるとは夢にも思わなかった。情けないとしか云いようがない」そんな意味の漢詩である。

「土曜日中京2Rチカリータは鉄板よ!ポン!とゲートを出て、後はおいでおいでの大楽勝なのは、チョンマゲを結って、フンドシ一丁で走り回ってた頃から決まってる。相手は前走芝からダート変わりで3着に入った学のリーゼだとは思うが今ひとつ頼りない。ダートで成績の上がらない馬をぶった切って、芝からダート変わりの馬を買うのが馬券のセオリーだろう。チカリータ頭の3連単。内からルメールのミッキーチェリー、貴志のワンダースニュマン、学のリーゼ、プリンスのエレーデ、極のマールデルプラタの相手5頭20点張り一目1千円だ」
「武豊J『宝塚記念』では踏ん張ったかも知れませんが、先週勝ってませんよ」競馬友達K君に敬愛する武豊Jをdisられて大反発。
ここまでは良かったのだが……….。
「万が一2着になった場合の保険でチカリータの4枠から3枠、5枠、6枠に3千円づつ、まさかの7枠に1千円。締めて3万でご機嫌伺いと行くか」
更に「秋山Jのグラウスも怖いんじゃ?」と脅かされて、枠連の4ー8を買い足す始末なのだ。

「第4コーナーを回って直線!逃げるチカリータ!迫ってエレーデ!内外離れての追い比べ!坂を上がってイエスペガサスも追撃!内はタガノバトラ!外からワンダースニュマンが追い込んで来るがまだ差がある!」
読み通り好発を決めた武豊Jとチカリータが抜群の手応えで直線を向いた。
2番手は福永Jのエレーデこれも問題はない。
バット!3番手が……..買ってないイエスペガサスとタガノバトラだからさ〜大変。
「貴志!こら!追え!追えってんだ!こんにゃろう!死ぬ気で追えってんだ」リビングのソファーの上に立ち上がって絶叫する事態となった。
「残り200を通過!エレーデを振り切ったチカリータ!エレーデ差を詰めるが!逃げる!逃げる!チカリータ!ゴールイン!離れた3番手はワンダースニュマン!」

1着 チカリータ

2着 エレーデ

3着 ワンダースニュマンで3連単、枠連が的中で万歳三唱かと思いきや………。

「マスターさん、おめでとうございます」神戸元町ウインズにいる、熊本天草出身◯原さんから携帯に繋ぎが入ったのに、「何がメデテエんだょ( ̄^ ̄)ゞオメー達が脅すから余計な枠連まで買っちまったじゃねえか。3連単一目1千5百買おうと思ってたのによ!儲けが減ったぜ!儲けがよ〜。責任を取れ!責任を」と毒づくとは情けない。
少し前までは馬券が凶と出ても「これが競馬よ。賭け事は照日、曇る日、しょっ中土砂降り。次頑張るしかねえだろが」とそれなりに格好良かったのに………。
先週土曜日のブラウスガウ、日曜日のモズライジンでヤラレ、お金もだが精神的な痛手をまだ引きづっている。

レースが終わって洗面所で顔を洗い鏡を見たマスター、「可愛いテカが喜んでくれてるのに………….あ〜あ、俺もつまんねえ漢になったもんだ。白髪もこんなに増えちまってよ〜」
張九齢顔負けに嘆いたのは見なかった事にしておこう。
マスター!元気出せ!
人は誰でも老いるのさ(≧∇≦)

皆様、お付き合いありがとうございました。
また、明日、宜しくお願い申し上げます。