北新地競馬交友録

中谷Jを待ちながら

不条理劇の最高傑作と云えば、『ゴドーを待ちながら』である。
木が一本立つ何の変哲もない田舎の一本道が舞台。
2人の浮浪者が、ゴドーという人物を待ち続けている。
そこに主人と従者がやって来て踊り出すが、主人に「考えろ!」と命令され、突然従者が哲学的な演説を始めたりするのだ。
その主人と従者が帰るのと入れ違いに、使者の少年がやってくる。
今日は来ないが、明日は来るというゴドーの伝言を2人に告げるために。

そして次の日、2人は来ると信じてゴドーを待ち続けるも、前日の少年がやって来て、ゴドーは来ないと告げてたち去ってしまう。
絶望した浮浪者2人は自殺を試みるが失敗し、幕になる。
何の事か判らないと思う。
大昔劇を見て書いている本人が判らないのだから当然である(≧∇≦)
行動とその結果の因果律に依って進行するのが一般の演劇なら、登場人物を取り巻く状況が最初から行き詰まっており、閉塞感が濃い密度でまとわりついているのが不条理劇。
ゴドーが来ればその閉塞感を突破出来るのだが、決してゴドーは来ないのである。

「アタマに来たぜ!雄太のガリゲットさえ差して来てたら、万歳三唱!提灯行列まであったのによ〜。自前と併せて5万両近くがパアじゃねえか」とマスターにいい泣きが入っている。
「ついてませんね。明日のキョウエイギアで返して貰いますか?」と競馬友達のK君。
「たわけ〜!も一つ寒いよ。『伏竜ステークス』のメンバー見てみろ。こったら強いのばっか集めたらダチカンぞ!どんだけ雄太が頑張っても8着が精一杯だ。もし馬券になったら、丸坊主になってやる!」
「じゃあ、今週はこれでお開きと云う事で。マスターさん!たまには外れますよ競馬ですから」と熊本天草出身◯原さんに慰められてんだから、惨めここに極まれりなのである。

「まあ、それがお利口さんなんだろうが、もう一万両だけ道楽をしてみねえか?7Rのディグニファイドは3着ならあるんじゃねえかと目っこ入れてたんだ。強えのは阪神ダート1400で絶好の外枠を引いた裕二のアダムズアップル、デムーロのツーエムマイスター。謙一のエミネントレコードは1枠2番でいくら差し馬と云っても不利だ。しかもだ!次に力のある6枠2頭がニャンと!瑠星、太朗のアンチャンペアなんだからズバッと切れる。デムーロだと安いから、裕二のアダムズアップルとのワイドでいてこます。◯原さん!オッズプリーズ」
「7.3ー8.6付きます」
「マジカル?そんなに付くのかよ。俺も自前で1万両買うぜ!」
オッズを聞いて俄然ヤル気になったマスターだったのだが……….。

「ツーエンマイスター!残り200を切って独走!追って来るのは15番アダムズアップル!その差はなかなか詰まりません!3番手に上がったエミネントレコード2番手を追っている!突き放したツーエンマイスター!5馬身リードを取ってゴール!」
スタートを決めて、4コーナーまでは前に付けていたディグニファイドだが、直線を向いて全く持って伸びないんだから泣けてくる。
叫ぶタイミングすらない展開にショックを隠しきれないマスター~_~;
不条理劇でも結局ゴドーは来なかったが、阪神7Rでも中谷Jは来なかったのだ。
「不条理だ!」とマスターが叫んだかどうかは定かではないが、これが競馬だよ( ̄(工) ̄)

明日は「女王パンドラを信じる!」と宣言したマスターが………..。
いつまで続く泥濘ぞ!
お付き合い宜しくお願い申し上げます。