北新地競馬交友録

大逆転劇

ウォータービジネスでご法度の話題と云えば、政治、宗教、そして野球である。
マスターの店がある大阪北新地は、『阪神タイガース』の本拠地甲子園から電車で20分強。
当然地元贔屓で『阪神タイガース』ファンが保守本流だが、ご機嫌伺いで「タイガースファンで〜す。今年は金本兄貴の胴上げが見たいで〜す」なんて云うと、「わしは巨人ファンや!喧嘩売ってんのか!」なんて事態が発生する。

そこでマスターがないオツムを捻って考えたのが、人気のない球団のファンと公言する事である。
「筋金入りのオリックスファンです!」
人気のないパリーグ、しかも万年Bクラスのオリックスなら、本気で怒る人は誰もいない。
なかなかいいアイデアだったが、一昨年オリックスが間違って優勝争いをしたもんだからさ〜大変。
便宜上のオリックスファンが本当のファンになってしまった。
昨年はエース金子の大リーグ殴り込み問題やら、守銭奴の大砲がライバル球団へ移籍やらで、定位置の最下位争い。
今年こそ!と意気込んで開幕を迎えたのだが………。

ライオンズVSオリックス。
7回まで3点もリードしていたのに、秋山の適時二塁打などで同点とされ、その後再び勝ち越すも、9回に1死二塁から栗山の適時三塁打で再び追いつかれ、続くメヒアに適時打を決められのサヨナラ負け。
守護神・コーディエが唯のウドの大木である事が露呈してしまった。
「こんなこっちゃ〜、先が思いやられるぜ。オリックスは勝つ時は地味なくせに、負ける時は仰け反るぐれえ派手なんだから、嫌になっちゃう」
マスターの嘆きは半端ない。
それぐらいインパクトのある大逆転劇であった。

「マスターさん、今週は『高松宮記念』いよいよG1シーズン到来ですね。ワクワクします!」
「◯原さんはいいよな〜、500円や1000円張ってワクワク出来るんだからよ〜。その日暮らしのカナカナ蝉の俺なんて、チョイと馬券が曲がりゃ、あっと云う間にLAWSONにバイトを頼みに行くしかねえから、死ぬ気で張ってんだ。ワクワクどころかドキドキの連続で、とても楽しむなんて心境にゃ〜なれねえよ」とまたまた始まったマスターの貧乏自慢(≧∇≦)
「世の中の99.9%の事は馬券が当たれば解決する」と云い放つぐらいだから、日々学習に余念がないが、この『高松宮記念』は悩みに悩んでいる。

「こったら前に行きたい馬が揃ったのは始めてじゃねえか?何がなんでも逃げ宣言のミッキーアイル、裕二を男にするために産まれて来たローレルベローチェ、歳喰ってると馬鹿にしていた競馬ファンを『オーシャンS』で地獄の底に叩き込んだハクサンムーン、今回も引っかかるかレッゴードンキ、若武者康太を背に粘り腰のアクティブミノル。並びすら予想出来ねえよ」
「じゃ〜後ろから行く馬を買えばいいじゃないですか。簡単でしょ?」
「た!たわけ〜!いくら中京の1200は差しが有利たって、前を走っている馬がバテて下がって来たら、それを捌かなきゃいけねえんだぞ。そったら簡単なもんじゃねえんだ。だが前が早くなるのは、ひまわり組のキッズ達でも知ってら〜。差し馬を買うのが賢明なのは激しく同意だ」

「ビッグアーサーがいいと思いますよ。末の確かさならNO1ですから、間違いなく外目を伸びて来ますよ」と競馬友達のK君。
「屋根がな〜。君の云う通りだ外からしか来ねえもん。何でもかんでも外差しじゃ〜距離ロスが馬鹿にならねえよ。2着、3着なら大有りだが、突き抜けるまでのレースが出来るかどうか?複勝ならとも思うが、馬券にならなかった時は延々気分悪いだろうから……….ルメールのアルビアーノで行くか。奴なら外目を差して行くか、馬群を捌いて差すかの判断が瞬時に出来るし、それだけの技術を持ってるからよ。先行馬をまとめて差し切っての大逆転よ。◯原さんオッズプリーズ」

「単勝5.6。複勝が2.3ー3.1です」
「上等!上等!福島上等カレーよ。単勝に5千円。複勝に1万5千円。併せて2万でご機嫌伺いと行こうか」
中谷Jのレースなら、平場でも10万も張るくせに、G1で2万とは余程自信がないのであろう。
いよいよ!松本伊代!で始まったG1シーズン。
にっくきライオンズだが、昨晩のような見事な大逆転劇を『高松宮記念』にも期待するとマスター。
ルメールJ宜しくお願い致しまス!