北新地競馬交友録

小さい事からコツコツと

マスターが小学生の頃の土曜日は午前中に授業があった。
その授業が終わると、殆どのキッズ達は転がるように家路を急ぐ。
理由はただ一つ、『吉本新喜劇』を見るためである。
何人かの座長が代わりべったんでテレビに出るのだが、その中でも1番ご贔屓だったのが、おく目の八ちゃん事『岡八朗』

悪役に絡まれた場面では、「いうとくけど、空手やっとるんや…通信教育やけどな」
このバージョンちがいで、「俺はこうみえても、学生時代…ピンポンやっとったんや」へっぴり腰で悪役に挑む八ちゃんのギャグに、お腹を抱えて笑い倒せば、テストが全然出来なかった事や、先生に叱られた事も完全に忘れてしまえた。

大昔から大阪を牛耳る吉本興業。
その吉本興業を支える二本柱が、『吉本新喜劇』と『漫才』である。
「うちのサイが云うにはやな〜」
「え!何かい、君の家サイ飼っとんかいな?」
「そのサイと違うがな、妻や!妻!嫁はんの事や」
夢路いとし•喜味こいし師匠。
そして金看板の西川きよし•横山やすし師匠。
しゃべくり漫才の最高峰である。
その西川きよし師匠の口癖が「小さい事からコツコツと、やらせていただきます」である。

土曜日中京8R。
「アースコネクターはド鉄板よ。もし3着を外すような事があれば、国会でも問題になるんじゃねえか?『雄太貯金』から複勝に5万。俺も自前で5万、合計10万ぶっこむ」
アースコネクターは確かに強かった、バット!複勝の配当が130円とは塩っぱいたらありゃしない。
「何で、俺の当たった馬券は安いんだよ?マジカル頭くるぜ!こんな事っちゃ〜『雄太貯金』が50万を超えるのがいつになる事やら………」とマスターにいい泣きが入っている。

じゃあ、大きな配当を狙いに行くかと云えば、そんな事は全く持って頭にはない。
「競馬で勝つには、貧しい奴ほど堅いレースを捜して、えいや〜!度胸一番断崖絶壁から飛び降りる性根で、単複、ワイドにまとまった金額を張るしかねえのよ。薄種に限って、やれ3連複だ!3連単だって欲をかくが、あったら馬券は懐の深い奴が、一発ブチ当てるまで買い続ける。そんな馬券だっちゅ〜の」

10万張って払い戻しが13万の言い訳を必死でべしゃりまくるマスター。
次に選択したレースが日曜日、中京1Rのスズカミラージュ。
「ダン!ダン!ダン!ダダダ〜ン」
『スターウォーズ』ダースベイダーのテーマ曲を口ずさみながら、9時半をチョイと回った頃に、マスターを先頭に、熊本天草出身◯原さん、競馬友達K君が神戸元町ウインズに入場だ。
複勝が1.3〜1.9とはこれまた泣けてくるぐらい安いが、そこに『雄太貯金』と自前を合わせて13万をぶち込んだ。

「直線を向いてモンストルコントとスズカミラージュが並んでいる!スズカミラージュが前に出た!」
スタートを決めた中谷Jのスズカミラージュが楽に前に付けて、3番手、絶好の位置取りからモンストルコントを交わして先頭へ。
◯原さんと一瞬目を合わせて大きく頷いたマスター。
スズカミラージュの勝利は間違いない(⌒▽⌒)

「ヨッシャ〜!デケタ!雄太サンキューベラマッチョ!」
余裕で一声、二声叫ぶマスター。
更に、「タガノ負けるな!殿下に負けるな!」
一番人気、モハメド殿下のゴールデンゲートが一瞬突っ込みそうになったもんだから、渾身でタガノバトラ鮫島Jに声援を送る。
結局、薬局、郵便局で2着には5番人気モンストルコント、3着には4番人気タガノバトラで万歳三唱。

なんせ、一番人気ゴールデンゲートが3着以内なら、複勝がメチャクチャ安いもんだから必死だ( ̄(工) ̄)
「マスターさん!払い戻し出ました!スズカミラージュの複勝が160円つきました」
「うむ、裕二と克駿にゃ〜会ったら、おつむナゼナゼしてやんなくちゃ〜いけねえな」と上機嫌。
「K君!13万張ってたから幾らになる?」
「20万8千円です!」
「おっしゃ〜!『雄太貯金』50万越えたぜ!」また、また雄叫びを上げている。

払い戻しをした諭吉ちゃんを見ながら「配当が安いだの、小学生でも当たる馬券だの、周りからは散々馬鹿にされたが、苦節半年、スタート5万が50万になった。◯原さん、ケロケロケロッピーの通帳出さんかい!今回は特別に俺が記帳する」
『祝!50万4千円!』本人は崩してカッコ付けたつもりだろうが、殴り書きにしか見えないのはご愛嬌だ。

西川きよし師匠顔まけ、「小さな事からコツコツと、やらせていただきます」が実を結んだ、マスターと愉快な仲間たち。
バット!この後、気まずい雰囲気が流れるお話しは明日です。
皆様、宜しくお願い申し上げます。