北新地競馬交友録

有馬記念を巡る4頭のお話し VOL1

もうすぐクリスマスがやって来る。
恋人同士なら、何をプレゼントして貰えるかドキドキ。
キッズなら、興奮してなかなか寝付けない夜を過ごす事になる。
今じゃ、どうにもならないおじさんのマスターにもそんな頃があったが、プレゼントは何時もブックと決まっていた。
『競馬ブック』ではない、書籍である(笑)
その中で何度も何度も繰り返し読んで大切にしていたのが『ドリトル先生』シリーズ全12巻だ。

「またウサギ見てるの?早く帰らないとお母さん心配するよ」
「は〜い。でもいつか話せるんじゃないかと思うんです坂上先生」
「無理ちゃうかな〜」
「でもドリトル先生は動物と話せますよ」
「イノウエ君は日本人やから、ドリトル先生はイギリス人やもん」
「ふ〜ん」
マスターの初恋の相手坂上先生は、◯屋山手幼稚園2年保育バラ組の担任。
マスターは今でも、自宅の電話番号も覚えられないおバカだが、漢字に関しては驚くほど早く読めて、キッズの頃からバリバリ読書に勤しんでいた。

あらゆる言語が話せるオームのポリネシア、世界一賢い犬ジップ、ドリトル家の家政婦アヒルのダブダブ、計算ならお任せフクロウのトートー、お茶目なチンパンジーチーチー、ロンドン子で雀のチープサイド。
愉快な動物達と、ドリトル先生が世界を、いや宇宙まで冒険をしちゃうお話しである。
マスター漢字は読めても、人間が動物と話す事は出来ないのが、まるで理解出来てなかったんだから、キッズの頃から一本ネジが緩んでいたのは間違いない。

「ゴールドシップ!大きく立ち遅れましたΣ(゚д゚lll)これは波乱のスタートです………」
2015年6月28日『宝塚記念』断然の1番人気。
ニャンと!単勝1.9倍で、多くの競馬ファンに支持されたゴールドシップが、スタートでゲートを出ない大惨事。
数十億円が一瞬にして塵と化した。
お店のスタッフと阪神競馬場に突撃して、馬券指南をしていたマスター。
ゴールドシップを推奨、赤っ恥をかいてしまい怒髪天を衝くぐらい怒った。

「あんにゃろう、何やってんだよ。全く持って頭に来るぜ!こんな裏切り行為は絶対に許せねえ。道で合ったら、鞭をビシバシよ!俺ぁ一生ゴールドシップは買わねえ」と、絶縁宣言まで飛び出す始末となったのは記憶に新しいところだ。
そのゴールドシップ。
暮れの大一番『有馬記念』が引退レースとなった。
「ゴルシ可愛い!」とか「意外性のある馬」で、今回も人気するだろうが………..。

「ふざけんじゃねぇよ!あったらいい加減な馬買えるかってんだ。こちとら命より大切なマニーを張ってんだ。ね〜◯◯ジョッキー」
「いや僕はゴールドシップが勝つと思いますね」
「ま!マジカル?」
昨晩、京都馬主協会のお偉いさんが連れて来てくれた、某ジョッキーがキッパリと云い切って、マスター顔面蒼白だ(((o(*゚▽゚*)o)))
ドリトル先生みたいに動物と話せて、「不貞腐れてゴメンなさい。ラストランは死ぬ気で走ります」なんて聞けたら別だが………やっぱ「絶対買わない!」とマスター。

優勝したら漫画だな〜(笑)