北新地競馬交友録

黒船襲来

今年戦後70年の節目を迎えたJAPAN。
その間、戦争に巻き込まれる事もなく、平和を満喫して来た。
非常に喜ばしい事である。
そんな昭和、平成よりも泰平の世が長く続いたのが江戸時代。
ニャンと!300年だって云うんだから驚かされる。

その泰平の世が一気に騒がしくなったのが1853年(嘉永6)。
アメリカの提督ペリーの率いる黒船4隻が、開港を求めて浦賀に来航した。
その時の庶民の心情を表した「太平の眠りをさます上喜撰(蒸気船)たつた四はいで夜も眠れず」は、学校の歴史で聞いた事がある方もおいでかと思う。

「何やってんだ!あの香港野郎!あ!ボウマンまで絡みやがって!豊を潰す気か?!」
枠なりでハナを切った武豊Jのコパノリッキーに執拗に絡む外人J。
マスター、頭から湯気だして怒り狂っている。
ハイペースになるのは必然で、1000mの通過タイムが1.00.2。
これじゃ持つ訳がない。

「豊!耐えろ!頑張れ豊!頼む〜」
必死の声援も虚しくコパノリッキーは最後の直線で馬群に沈んだ。
後で、タイムを確認すると 数字にもそれがハッキリ表れている。
コパノリッキーに、ガンピットが絡んできたスタート後2F目が10秒7とは、ナンボなんでもやり過ぎだ。
「マスター酷いですね。ボウマンのクリノスターオーがブービーで、勝ったサンビスタから2.7遅れ。バートンのガンビットに至っては5.1遅れの大差。最後は歩いてんですから。で勝ったのがデムーロ、2着がルメールでしょ。上2人とお尻2人が外人とは」
「……………競馬は真剣勝負。ボウマンもバートンも勝つために、あんな乗り方をしたんだろうけど、ぶっちゃけ後味が良くねえ」

今年1番の大勝負!
公表を憚れるぐらいの大銭を、コパノリッキーとホッコータルマエのワイドにぶち込んだマスター。
「逃げるコパノリッキーにホッコータルマエが渾身の追いで迫り、ノンコノユメが仰け反りの末脚を発揮。老雄ローマンレジェンドが度胸1番康誠のイン付き、はたまた不良親父ナムラビクターが心を入れ替えての激走。極端な話し、豊に執拗に絡んだガンビットが掲示板に載っている。そんなレースなら、俺も馬券がハズレたからって、どうこう云う気は一切ねえし己の読みの浅さを恥じるだけよ。何が牝馬史上初の快挙だ。年季の入った競馬ファンで、今日のレースは良かったなんて云う奴は、どこにもいねえよ。日本人ジョッキーは甘いで片付ける気分にゃどうしてもなれねえ」

お通夜のような反省会。
いつもの台湾食堂で、アイホンを見ていた◯原さんが、「あ!豊さんも怒ってますよ」
どれどれとアイホンを見たマスター。
『「意味が分からない絡まれ方をされて、無駄脚を使わされたね。絡まれるともろいという弱点が出てしまった。まぁ、勝負だからしょうがないけど」と武豊は口をとがらせる』
とあった。
このコメントに関しては賛否両論あるだろうが……….。
競馬は突き詰めれば、短い時間に凝縮された最高のドラマ。
カジノでサイコロを転がしてる訳でも、運否天賦でカードをめくっている訳でもない。
だからこれほど愛される。
筋書きのないドラマは結構で当然だが、泣いてた役者がいきなり大笑いするようでは……。

徳川幕府は浦賀に来航した黒船4隻にくちゃくちゃにされたが……..マスターも悲惨な事になっちゃった。
「明日から昼間LAWSONでバイトでもすっか」
自虐的にギャグを飛ばしたマスターに、誰も笑えなかったとは(≧∇≦)
何とも暗い日曜日であるが、元気だせ!
またいい事もあらあね。