北新地競馬交友録

恋する○原さん

この世の中厄災の半分はウーマンがもたらす。
神話の時代トロイヤが滅ぶ原因となったのは、スパルタ王メネラーオスの妃ヘレネーを奪い去った事に端を発しているし、それ以後も『事件の影にはウーマンあり』とは云いつくされた言葉だ。
人生半ばを大きく過ぎて、今やそう云う欲が薄くなったマスター。
「いや〜!清々しい。ウーマンに血道上げていた頃は、心安まる日とは無縁だったけどよ。やっと安寧を得たってところかな」
実態は誰からも相手にされないんで諦めただけなんだが、それにはほっかむりしている。

「○原さん何虚ろなマナコしてんだ?何だかキョドってるぜ」
「そ、そんな事ありませんよ」
「いや!絶対おかしい」
「マスター、○原さんあそこの女性をチラ見してましたよ」と競馬友達K君がチクリンチョしたのは、『菊花賞』の確定がモニターに写し出された10月25日の夕方。
「え!マジカルかよ〜。どれどれ、何だ〜普通のオバサンじゃねえか。
しかし、JRAや競馬関係者の努力で、競馬場やウインズに来やすくなったと云っても、1人で来るなんざ〜気合い入ったオバサンだな。○原さん、あんなのがタイプ?」
「ち、違いますって!」

○原さん、熊本天草出身68歳。
8年前に愛妻に旅立たれ、1人娘は関東野郎に持ってかれての男ヤモメ。
どうやらマスターみたいにまだ枯れてないようだ。
「よっしゃ!俺が○原さんの為に一肌脱ぐ。番かけっから、オメー達も付いて来い。レッツラゴー」
嫌がる○原さんのベルトを掴んでカニ歩き。
ソロリソロリとおばさんの横に近寄る『マスターと愉快な仲間達』
傍から見たら怪しいったりゃありゃしない(笑)

「今年の『菊花賞』は簡単だったな〜。レースの前からキタサンブラックで自信があったのよ。あ〜あ単勝1万と複勝2万しか持ってねえよ。○原さん払い戻しは幾らだ?うん、20万とチョイか。まあ今日はこれぐれえで勘弁してやっか!」
オバサンに聞こえるような声で、1人小芝居のマスター。
全くもって馬鹿である(≧∇≦)
「お姉さんどうだった?」
「………………..」
自称伊集院静だが、凶暴なフェイスのマスターに急に話しかけられて、オバサン、キョトーン。

「最終レースがこれまた自信があんだ。聞きたい?お姉さん聞きたいだろ!」
「………………….」
恥ずかしさの余り、逃げ出そうとする○原さん。
笑いを堪えるのに必死のK君。
本当にあんた達平和だね〜!

皆様、お付き合いありがとうございました。
明日は競馬のお話しをキチンとさせていただきますね。
宜しくお願い申し上げます。