北新地競馬交友録

涙雨 その2

『5輪エンブレム盗用問題』で揺れに揺れる我がJAPAN。
デザイナーの佐野なにがしさんが叩きまくられている。
「真実は本人にしか判らないが、俺は盗用はしてねえと思うぜ。エンブレムなんてシンプルなもんだ。尚且つTの文字を使ってデザインするとなりゃ〜、世界中探しゃ似たのはあらあね。デザインと芸術を一緒にしちゃいけねえよ。まあ、君達みたいなデザインのデの字も知らない人間に話しても無駄だがよ」
競馬友達K君と熊本天草出身68歳◯原さんに講釈を垂れたマスター。

なんせウオータービジネスの世界をデラシネのように漂い出す前は、デザイン会社に20年以上務めていた。
クライアントは、翠心幼稚園ひよこ組のキッズ達でも知っている、家電メーカーやスポーツメーカー。
スポーツメーカーにいたっては19年間も担当していたのだから、それなりにデザイン業界には精通している。
職制は営業だが、サムネール(デザイン案の下書き)や、コピーライティング(文章)ならお手の物。
酔っ払いの現在の姿からはまるで想像もつかない(笑)

もっともそれだけ長きに渡り務まったのは、なにもクリエイティビティに優れていたからではない。
「申し訳ございません。かくなる上はこの腹掻っ捌いてお詫びを………」
「………….もういいです。次回からは気を付けてくださいよ。今回は始末書の提出に止めておきます」
「へへ〜」
謝るのが異常に上手かったそうな。
たまに嘘泣き、土下座まで繰り出し、担当者をビックリさせていた。
デザインの仕事はトラブルなんて日常茶飯事だ。
そんなマスターほどではないが、競馬友達K君もなかなかの謝り上手なようで……..。

「マスター!すいません。ハコダテローズ来ましたね。僕がウインズに行ってれば良かったです。本当にすいません。損をさせてしまって」
いきなり携帯から詫びの言葉が飛び出して来たのは、確定ランプが付いた直後。
「いや、口おっ広げて寝てた俺が悪ぃのよ。気にすんな」
先に平謝りされちゃ〜、振り上げた拳を下ろすしかない。
「これからウインズ行きます。◯原さんもオロオロしてるようですし。何か気があるレースがあれば云ってください。5万ぐらいでしたら立て替えさせていただきます」

「PAT?そったらもんあったら、半年も持たねえで火達磨よ。自慢じゃねえが当たるまでやめないのは火を見るより明らかだ」はマスターの口癖。
大概は「買えなくて助かった!」なんだが、たまに今回のような事がある。
もとよりK君や◯原さんには何の落ち度もないのは承知の助のマスターだ。
「そうさな〜、札幌12Rでも頼むか。昨晩来てくれた京都馬主協会会員某Mケル君の、ハナズリベンジに気がある。単複1万づつ宜しく哀愁」
出勤前に梅田ウインズに行くつもりだったので大助かりだ。

「2万でいいんですか?もっと張って貰って結構ですよ」
「マジカル?じゃ〜ハナズリベンジから、1番人気のネオリアリズムとこれまたお世話になっている馬主さんのメイクアップとのワイドに5千円づつも行っとこうか。来たら太いぞ〜」
ハナズリベンジの単勝35倍、複勝4.6ー9.6倍。
ワイドがそれぞれ8.4ー9.6倍、27.4ー37.2倍で50万越えも夢じゃない。
「オッシャー!捲れ、捲れコウセイ。頼む〜」
『札幌記念』を挟んで中1週の4走目。
ハナズリベンジは本当に頑張ったんだが、悔しい悔しい4着。
マスター!ユーは本当に運がないわ(≧∇≦)

スイマセン。
まだ続きます。
明日もお付き合いのほど、宜しくお願い申し上げます。