北新地競馬交友録

酔券 その4

「東名よく投げた。オリックス明後日から10連勝で、クライマックスシリーズ出場だ!」と云って、呆れられたマスターは屋根裏にでも置いといて。
セリーグは本当に大混戦。
首位の阪神から4位の広島までが、僅か2.5ゲーム差にひしめき合っている。
どのチームにも優勝のチャンスがあり、どのチームにもクライマックス出場すら叶わない可能性がある。
まさに、連日負けられない闘いが続く。

お世話になっている馬主さんのブンブンヴラウが小倉1R、続く札幌1Rでもスティルプリンスが快勝。
朝一から2連勝なんて事は年に一度、いや3年に一度ぐらいの快挙。
マスター、財布が膨らんで万々歳なんだが、二日酔いのくせにハシャギ過ぎたもんだからグッタリ。
「なんだか気分が良くねえ。サテンで休んでくる」と、神戸元町ウインズ近くのいつも行く喫茶店に緊急避難。
壁に持たれて寝ていたんだが…….。

「ん?」
ムックリ目を覚ましたマスター。
目の前には競馬友達K君と○原さんがチョコんと座っている。
「何やってんだよ?」
「何やってるって、もうお昼ですよ」
「マジか?」
「○原マジカルです」
そこに運ばれて来たのが、焼きそば定食と豚の生姜焼き定食。
「おい!その匂いがムカムカする。まだ二日酔いが残ってるんだ。あっち行けよ」

「あっち行けと云われても、お昼時で満席ですよ」
「ほれ、そこのおとっつぁんは1人で座ってんじゃんか贅沢な野郎だぜ。あそこ行け!今直ぐ行け」
も〜云う事が無茶苦茶なんだが、云い出したらきかないマスター。
お盆を持ってソロソロと移動するふたり。
勝手に座られたお客さんは迷惑千万で、「なんじゃ〜?」と憮然とした表情も、「おとっつぁん!悪いな。宜しく哀愁だ」とマスターに云われてだんまりを決め込んだ。
なんせ、シャープな視線が半端ないんだから逆らう勇気は……..。

「レモンスカッシュお代わり!それとよ〜K君小倉8Rの20分前になったら携帯で起こしてくれ。まだ寝たりないから俺は寝る」
「まだ寝るんですか?そんなにしんどかったら帰られたらいいじゃないですか」
「ば!馬鹿野郎!小倉8Rは、これまたお世話になってる馬主さんのピクニックソングを、忠士が担いでも持って来る。これを見ずして帰れるか。このレースはエイシンバランサー、ピクニックソング、クーゲルの3頭立てのレースだ。乗鞍が一杯ある松山浩平や、減量鮫島克駿と違って、贔屓にしてくれた境厩舎が解散。乗鞍が減ってる忠士は負けられねえんだよ。判ったか!このうつけ者が」
「………………..」

「よ〜し!グンバツのスタートだ。これなら何とかなる」
レースは好発からポンとハナにたったピクニックソングがオイデオイデの楽勝で押し切り。
なんせハナに行って、上がりも34.7の実質最速で負けようがない。
単勝が仰け反りの1100円、複勝でも280円ついたんだから、マスターそっくり返って威張る威張る。
だが悔いは残る。
午前中儲けて資金は充分あったのに、一目の金額は諭吉丼の単独出撃。
「せめて二人づつは張っつけんだった。13万落としたぜ」
これが『キーンランドカップ』の悲劇の伏線になるとは、まだ誰も知るよしもないんだが……..。

小坂Jよく頑張ったね!
セリーグと同んなじだ。
負けられない闘いしかと目に焼き付けました!

スイマセン。
明日こそ終わります(≧∇≦)
本当に終わりますからね。
お付き合い宜しくお願い致します。