北新地競馬交友録

酔券 その1

随分昔の話しだが、ジャッキー•チェン主演で大ヒットしたカンフーシネマがある。
その名は『ドランクモンキー酔拳』
馬鹿息子が心を入れ替え、拳法の修行を積んで極めた『酔拳』で、悪人をコテンパン太郎にやっつけるストーリー。
実にたわいも無いシネマだが、お馬鹿なマスターは、大口を空けて笑倒して見たそうな。

「ワイン、もう一本いただいてよろしいでしょうか?」
「いいですよ」
昨今、世間様は週休2日が当たり前で、土曜日に必死こいて働く人間は随分減ったが、貧しいマスターの辞書には休むなんて単語はない。
某馬主さんにスリスリゴマスリでワインをおねだり。

お盆明け未曾有のノンビリモードの穴を埋めるべく、それこそ必死のパッチでドリンキング。
みっともないからよしゃいいんだが、そんな事でも云おうもんなら「資金導入しなきゃ、馬券代がねえんだから仕方あんめえが。文句あっか!」と開き直られるのがオチ。
それと云うのも………。

「千載一遇のチャンスとはこの事よ。雄太が乗るモズライジンが新潟で勝負だ。な〜に関東のヘッポコに負ける訳がねえよ!」
土曜日の午後。
とんでもなく鼻息は荒いんだが、先立つ物がない。
なんせ、カラスがカー!カー!と鳴いて月曜日が来れば、鬼より怖い月末が来る。
家賃、人件費……..支払いラッシュなのである。

「おっしゃ!雄太行け〜!捲りきっちまえ」
新潟9R『麒麟山特別』モズライジンは強かった。
楽勝も楽勝、軽トラとベンツぐらいエンジンが違う。
この一鞍だけのために新潟遠征をした中谷Jもパーフェクト騎乗だ。
懐に余裕があれば、それこそ諭吉ドンを単複で一個小隊は張り付けてるんだろうが…….。
「すまねえ。馬券が外れたから家賃はそのうちな」てな訳には行かないと張った金額が……….公表を憚られるぐらい寂しい金額。

「あ〜あ、俺は根性なしなし、なし夫だ。ここで勝負しなきゃ何処で勝負するってんだ。つくづく自分が嫌になった」
そんな泣きが入った土曜日の夜。
明日の競馬のためにと、腕まくりして待ち構えてたんだから、馬主さんもいい迷惑だ。
「明日の札幌1Rは一騎打ちですね」
「相手は高馬ですから一泡吹かせたいもんです」

ワインをねだられた、『マスター被害者の会』筆頭馬主さんの愛馬が大活躍。
日曜日の神戸元町ウインズで、土曜日の酒が残って二日酔い丸出しのマスターが、大絶叫するお話しはまた明日です。
毎週、毎週、スイマセン(≧∇≦)
お付き合いのほど、宜しくお願い致します。