北新地競馬交友録

『口取り物語』VOL4 わしが行ったら負ける その2

「3やろ!」
「いや17が差した」
「残っとるで」
「同着ちゃうか?」
そんなやり取りを競馬場やウインズでたまに見かける。
「素人衆が何云ってんだか、差してるに決まってんじゃん。こっちとら産まれてから3万回以上レース見てんだ!」と不遜な発言をチョイチョイするマスターだが……….。

「◯◯さん行きましょうよ。今回、人気はないでしょうが勝ち負け必至です。前走は10番人気で2着。フロック視されてますが、ナンノ、ナンノ、南野陽子。前に付けての粘りこみ。出し抜けさえくらわなきゃ、間違いなく勝ってました。京都から阪神替り、このメンバーなら坂を登って差して来れる馬なんていませんぜ」
「……………………………..行かん」
「馬券でも勝負出来ます。ガツンと儲けて祝勝会やりましょうよ。ね〜◯◯さん」
「……………………………やめとく」

マスターが『思いっきりテレビ』も仰け反るぐらい尻をかいても、首を縦に振らない馬主さん。
何でも、以前1番人気、3番人気、2番人気で3週連続して9着以下。
思わず競馬場でへたり込んだのがトラウマ。
金輪際競馬場には行かないと心に決めたそうな。
「ようがす。単騎出撃します。グリーンチャンネルに念力送ってください」
「任せたで」
「ガッテンだ!」と胸を叩いたマスター。

「ヨッシャ!デケタ!デケタ!優作そのままグルっと回って来い」
お昼をチョイと回った頃、マスターが阪神競馬場でドヤ顔シャウト。
勝利は確定かと思われたのだが、インから恐ろしい勢いですっ飛んで来たのが、野生の男岩田J。
普通に雁行したらアウトが有利なのは、小学生でも知っているが、一瞬で交わされるとインもアウトも関係ない。
それが交わされちゃったんだから大変。
「岩田!この野郎!余計な事すんな!」
(岩田J品がなくてすいません。読み物なんでご勘弁を。いつもガチ応援してます。マジでファンです)

あまりのショックに失神しそうになるマスター。
バット!420キロチョイの小兵だが、ど根性娘の闘志に火がついた。
歯を剥き出して、執念の差し替えしだ。
「優作!優作!優作!優作……………….」
マスターが10回はシャウトしたところがゴール。
「3万回以上レースは見てる!勝ち負けぐらいスローなんか見なくても判るぜ
!」と豪語するマスターだが……….「判かんねえ(≧∇≦)」だと。
さ〜!勝ったのはどっちだ?

続きはまた明日です。
皆様、お付き合い宜しくお願い申し上げます。