北新地競馬交友録

リスク

「1999年7の月に恐怖の大王が来るであろう。」
一時期一世風靡セピア、ニャンと!10冊ものベストセラーを出したのが、五島勉、『ノストラダムスの大予言。』
当時騒いでいたのは、少しばかりオツムの弱い人か、ハートが傷んでいる人。
北新地のラウンジでは、「世界がもう直ぐ滅びるらしいで。知ってるやろ『ノストラダムスの大予言』。残り時間は少ない、今晩楽しい事しやへんか?」
「い〜さんいやらしいわ〜。」
「てへペロ。」なんて、口説きが流行っていたくらい。
馬鹿馬鹿しい話しながら、大して罪もなかったのだが………..。

「何もしなければ42万人死ぬ。」
「このままでは医療崩壊が起きる。」
「東京の2週間後は今のニューヨーク。」
「新年度で人の流れが増えて、感染爆発が起きる。」
「GW明けに第7波が来る。」
テレビのワイドショーで、「マスクはパンツだ!」なんて与太話を飛ばしているコメンテーターだけでなく、政府機関のアドバイザリーをしている人間や、東大教授の肩書きをもった人間が国会で涙ながらに訴えた。
そんな予測が外れる、外れる。
もはや予測と云うよりも、お告げ、予言のレベルであろう。

ここで問題は、何故予測が外れたかの検証がまるでなされてない事。
例えば、北大から京大に映った髪の毛1割おじさん、失敬!8割おじさんなどは、次から次に恐怖の予測を垂れ流して、これまた外しまくっても平気の平左。
街の狂人が酔っ払って道で騒いでいるならともかく、政府の『新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード』に資料や予測を提出し続けているのだから、事は深刻である。

自称学者と云う人間の煽りによって、どれだけ多くの人間が被害を被っているか。
関西でも、電車が止まらぬ日はまず無い。
しかも、生活に窮したり、病んだ女性の方の増加が顕著だと云う。
まるで見当違いの予測で、世の中に不安をばら撒いても、何のお咎めもなし。
リスクは煽るが、己は常にノーリスクとは、学者とは気楽な商売である。

8割!頭丸めて、迷惑を掛けた国民に詫びろ!

「ルメ公!突っ込め!」北新地の盆暗が、大阪梅田ドンキ前で叫んだところがゴール。
『ヴィクトリアマイル』は、ソダシとファインルージュの馬連2010円を4500円分ゲットして、僅かながらもプラスを計上。
『NHKマイル』に続いての2週的中は、今年始まって以来の快挙である。
「あぶねえ、あぶねえ。3着のレシステンシアも、4着のローザノワールも一銭も買ってねえ。勝春?まだ騎手やってたのかよ〜。全然知らなかったちゅう〜の。」と勝てば官軍で、愉快な競馬仲間達にマンジをかます、ドンキ前午後3時50分なのであった。

「マスター、おはようございます。2週連続的中、良かったですね。」は、我がJapanで3番目にオツムのいい学校を出て、堂々プライム企業で禄を食んでいるK君。
「まあな、世間様にゃ〜笑われるだろうが、苦節44年、やっと競馬がなんたるものか見えて来た。」
「立派です。」
「なにが?へい!ユー!俺を馬鹿にしてんのか?あ〜ん。」
「とんでもない。やられても、やられても突っ込んで行く、マスターの敢闘精神には脱帽ですよ。」
「また、また。上手い事云いやがって、褒めて取られる兵隊検査。その手は桑名の焼き蛤だ。」
少しでも儲かれば与太話もまた楽しからずやと云ったところであろう。

「今日の『オークス』はどうしますか?『桜花賞』1着から9着までが0コンマ2なんですから、力差を測る事が出来ませんもんね。」
「そうよな〜。高速決着だったから、スタミナ勝負の『オークス』の参考にはならんだろう。馬券圏内の括りなら、どの馬にもチャンスがあんじゃねえの。木曜日から穴の開くほど出馬票を睨んでいるが、まるでヒラメクものがねえんだもんな。馬鹿の一つ覚えだが、神様もう一回ヨロチクリンで馬連ボックスにすっか。」

「いいですね〜。外れるまでその戦法で行きましょう。」
「発表!馬連ボックス!内からリーディングトップ、将雅のアートハウス、『オークス』は任せろ、デムーロのサークルオブライフ、復活せい、武史のナミュール。まだまだ頑張る、圭太のプレサージュリフト、してから大外枠が厄でもルメ公の、スターズオンアースの5頭10点張り一目5千。」
「その5頭3連単のボックスなんかも面白いんじゃ?」
「たわけ!そんな二階から目薬みてぇな馬券買えるか。リスクを考えろ!リスクをよ。」
「…………………….」

自分はノーリスクで、世の中を混乱に陥れる事に生き甲斐を感じてるとすら思える学者達とは違って、常にリスクを丸抱えの競馬ファンは潔い。
まぐれ上等!もう一発欲しいマスターだがさて………….。